最近読んで面白かった本。
超かんたんに説明すると
『自動車絶望工場』は、1972年に鎌田慧がみずから
トヨタ自動車の工場で、期間工として働いたルポ。
『フリーター漂流』は、2005年にNHKで制作された
フリーター(契約や派遣、請負)の現状を追ったルポ。
この2冊は33年の時間を隔てて、
対になったみたいな本たちなのです。
両書とも、青森で、出稼ぎ先を求める
若者の姿からはじまる。
33年も経ってるのに、はじまりの場所まで一緒。
ストーリーは流れていって、鎌田は自動車のライン工、
フリーターは携帯電話の工場のライン工になる。
自動車と携帯電話、物は違えど「ライン工」という働き方への
問題提起はほぼ一緒。
他に行き場がなくて、仕方が無く
期間工になってしまう若者。
請負という立場になってしまう若者。
面白いくらい対になってるのだ。
でも
一番の違いは 背景にある日本経済の勢い。
『自動車絶望工場』では、日本が高度経済成長の波に乗って、
どんどん自動車が増産されていく様子を描いている。
毎月求人広告が沢山出され、常に人手不足。
増えて行く一方の生産数に、期間工たちは非人間的な扱いをされる。
というのが主な見どころ。
(ベルトコンベアで働く毎日の様子が、リアルすぎて恐ろしい!)
対する『フリーター漂流』は、
更に状況が恐ろしい状態になっている。
自動車絶望工場と同じく
非人間的な働かされ方はもとい、
何より、職がない。日本の景気は落ちる一方。
メーカーのコストダウン指向のために
しわよせがくる請負会社、そこで働く社員。。
隙があれば中国に仕事を持っていかれる─
そして、その泥沼から、這い上がるのは超むずい。
これは
自動車絶望工場は
まだしも天国なんじゃないかと
思えてくる。
だってフリーター漂流に出てくる今井さん。
月、手取り7万円。
自動車絶望工場で、鎌田慧がもらってる給料とほぼ一緒。
何それ ヒィー(((゚Д゚)) こわいーー
33年たってるのに月収が一緒ってどういうこと?!
一番わかりやすいのは、
自動車絶望工場に出てくる若者は
「一人一台、月賦で車を買っている」という点。
いま、大方の若者、車なんて買えない。
もう
2冊連続で読むと、超ジャパニーズホラーですよ。
怖い。
日本経済怖すぎる。
以上
なんかホラー小説の紹介のようになってしまった。
でも、すごく面白い本でした。2冊とも。
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この2冊については、
まとめてらっさいます。面白い!
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えとそれで、今は
『日本料理 こつのこつ』読んでます。
吉兆の中谷文雄さん著。
軽快な文章で、おもしろ〜い。でも「こつ」なんて書いてあるけど
めっさ繊細で高度なので、全くわかりません 笑
あと『野菜探検家 世界を歩く』池辺誠
これは面白い本です。野菜のルーツを辿る旅の本。
アジア篇も面白かった。こんな旅がしてみたい。